物流に関わる仕事をしたことがある方ならば耳にしたことがあるであろう業界用語に「バース」または「トラックバース」があります。
この記事では「バース」という用語についての説明とトラックバースで発生する待機時間の問題について解説していきます。
バースとは?
物流業界では荷降ろしをするためにトラックを停車させておく場所を「バース」と呼んでいます。元は港湾内で船舶を係留させて、荷物の荷降ろしを行う場所をバース(Berth)と呼んでいたのが由来です。
同じような意味を持つ言葉に「トラックヤード」があります。
トラックヤードとは、バースを含めた荷物の積み替え作業を行う敷地全体のことを指します。「ヤード(庭)」という言葉の通り、さまざまな設備まで含まれるのがトラックヤードです。
バースが抱えている課題
バースには荷物の積み降ろしのため、多くの車両が集中します。バースより車両の数が上回れば空くまで待機が必要です。
全国物流ネットワーク協会によるとバースでの平均待ち時間は「1時間45分」と発表されており、近年の物流業界が抱えている大きな問題の1つ。それによって下記のような問題が発生しています。
バース周辺での渋滞
待機時間の発生は配送効率を低下させるだけではなく、他業者の車両にも迷惑をかけることに繋がります。同時に運送会社や倉庫、工場などの物流拠点にとっても大きな負担になっています。
ドライバーの長時間勤務
待機時間は長ければ3~4時間に及ぶ場合もあり、結果的にドライバーの拘束時間を増加させています。
荷待ち時間が発生しても荷主側から追加料金が支払われることもないため、ドライバーへの賃金に反映されない場合も。待機時間は休憩として扱われたり、残業として認められないなど、ドライバーにとって不利となるケースもあるのが課題です。
こうしたことによってドライバー不足に拍車がかかり、昨今の物流業界が抱える大きな悩みの原因になっています。
近隣住民への迷惑
大型車両が長時間にわたり停車すると周辺住民の往来の妨げになり、住民との間にトラブルを引き起こす原因となる場合もあります。
荷待ち時間については長年問題視されていますが、現在も根本的な解決には至っていません。ドライバー不足を解決するためにも労働環境の早期改善が必要です。
(参考)https://www.mlit.go.jp/common/001223200.pdf、http://www.torokyo.gr.jp/pdf/20200116.pdf
物流総合効率化法について
物流総合効率化法とは、人手不足や環境問題を抱える流通業界の問題を解決し、日本の国際競争力を強化するために政府によって打ち出された法律です。
一定の要件を満たせば、経費の一部補助や事業運営に関する許可・規制について優遇措置を受けることができます。国が補助を行うことで物流業界へ働きかけ、輸配送の共同化や輸送網の集約、モーダルシフトによる全体効率化の後押しをしています。