倉庫を借りる際に気になるのは、やはり倉庫保管料。相場がはっきりしない上に、倉庫の借り方・契約の仕方も明文化されておらず、初めて借りる場合は分かりにくいのではないでしょうか。倉庫を借りる目的によって推奨される契約形態は異なります。そのため事前にどのような倉庫を選ぶのか確認が必要です。
本記事では倉庫を借りる際に発生する費用の項目や契約形態の種類、エリア別に貸し倉庫の坪単価相場を解説します。
倉庫を借りる際に必要な費用項目
倉庫を借りる際にかかる費用は利用料金だけではありません。また、倉庫の契約形態によっても相場が異なります。
倉庫を利用する際の契約形態には「寄託契約」と「賃貸借契約」の2種類があります。
寄託契約は営業倉庫に貨物の保管・管理を委託する契約形態です。別料金で倉庫の庫内作業を委託する事もできます。寄託契約がおすすめなシーンは下記の通りです。
- 一時的に荷物を預けたい
- 荷物量が少ない
- 在庫量の変動が大きい
- 大切な物品を保管したい
ただし寄託契約の注意点として、倉庫の営業時間にしか貨物の出し入れができない点が挙げられます。
もう一つの賃貸借契約は倉庫のスペースのみ借りる契約形態です。貨物の保管・管理や庫内作業を自社で行う必要があります。賃貸借契約がおすすめなシーンは下記の通りです。
- 長期間(3年以上)保管する
- 荷物量が多い
- 24時間スペースを自由に使用したい
- 庫内作業を自社で手配したい
注意点として、賃貸借契約はスペースを貸すだけの契約なので荷物に対する補償はありません。
賃貸借契約の場合の費用項目
初期費用
詳細は倉庫によって異なるものの、賃貸借契約の一般的な初期費用は以下の通りです。
- 保証金(敷金)
- 権利金(礼金)
- 事務手数料
- 火災保険料
月額料金(賃料・坪貸し料金)
賃貸借契約の月額料金は、坪単価で決められた固定料金です。エリアや築年数、建物の構造などの条件により相場が異なります。
その他、共益費など
住宅の賃借と同様に共益費や更新料、解約手数料などがかかるケースもあります。
寄託契約の場合
初期費用
保証金・礼金に該当する費用はありません。初期費用不要とする倉庫も多くなっています。
月額料金(個建て料金)
寄託契約の月額料金には下記のような種類があります。
- 坪建て:1坪あたりの料金
- 個建て:荷物1つあたりの料金
- 容積建て:貨物の体積によって定める
- 重量建て:荷物の重量によって定める
大きさが均一の貨物の場合は「個建て料金」が用いられるのが一般的です。
寄託契約の保管料の多くは1か月を3期間に分ける「3期制」で算出され、個建て保管料の「個数」は以下のように定義されます。
前期の期末在庫数 + 入庫数
この個数に貨物1個あたりの料金を掛けることで、1か月の保管料が決まります。
その他、入出庫料など
委託した作業に応じて入出庫料や検品料、梱包料などを支払います。扱う荷物によって適切な保管温度帯なども異なるため、商品によって各種作業料は異なります。
【エリア別】貸し倉庫のエリア別坪単価相場一覧
実際に倉庫がいくらで借りられるのか、エリア別に貸し倉庫の家賃相場(平均)を坪単価で紹介します。
- 東京都:7315.6円
- 埼玉県:4778.4円
- 千葉県:5130.7円
- 神奈川県:5026.3円
- 大阪府:4625円
- 兵庫県:4287.5円
- 愛知県:3966.6円
- 福岡県:3266.6円
エリアによって相場は異なり、大都市圏では高く郊外は安い傾向にあります。同じ県内であっても都市部と郊外では坪単価にして1,000円以上の開きがあるケースも。交通アクセスに問題がなければ、郊外で倉庫を借りる方が経費を抑えられるでしょう。
※2022年11月時点。souco賃貸に掲載されている倉庫の坪単価を平均した数値。
まとめ
倉庫の契約形態には大きく分けて寄託契約と賃貸借契約の2種類があります。その中でも賃貸借契約は月額でかかる利用料だけではなく、賃貸マンションでいう敷金・礼金といった立ち位置の初期費用が必要となる場合がほとんどです。一方で寄託契約の場合は保管している荷物の量に併せて価格が決められるため、荷物の量が変化する場合や少量だけ保管したい時におすすめです。しかし荷物の出し入れは倉庫の営業時間内に限られるため注意しましょう。
賃貸借契約の場合の坪単価は主にエリアによって異なり、地価に比例しています。物流コスト削減のためにも荷物に合った契約形態を判断しつつ、アクセスのしやすさと坪単価を考慮して倉庫選びを進めましょう。