食品の保管などに欠かせない冷蔵倉庫。倉庫には「常温」「冷蔵」「冷凍」の温度帯があり、それぞれ役割が異なっています。
この記事では冷蔵倉庫の特徴や、保管温度帯・湿度、保管に適した荷物について解説します。
冷蔵倉庫の温度と保管される荷物
冷蔵倉庫とは10℃以下の温度で保管する倉庫を指し、その中でも特に低温の温度帯で保管する倉庫は「冷凍倉庫」と呼ばれています。
保管温度帯とは、主に配送・保管時の温度指定で使われているもので、統一されていないものの概ね次のように分類されています。
- 常温(ドライ)= 10℃~15℃(または20℃)
- 冷蔵(チルド)= ‐5℃〜 5℃
- 冷凍(フローズン)= -15℃以下
常温倉庫
常温倉庫とは、倉庫内の温度調整を行わない倉庫のことで、一般的な倉庫はこれに当てはまります。
常温倉庫の特徴は、温度管理をしない分料金が安く、さまざまな広さの倉庫があるところです。一方で、季節により温度や環境が変化しやすく、夏は温度が高く、冬は低くなる傾向にあります。
そのため常温倉庫で保管される荷物としては、金属製品や機械部品、陶器・ガラス、家具、建築資材などの温度や湿度の変化による影響を受けにくいものが挙げられます。
冷蔵倉庫
冷蔵倉庫とは、10℃以下の温度帯で管理する倉庫すべてを指します。保管する商品に合わせて、きめ細かい温度管理ができるよう、倉庫業法にて次の7つの等級に分類されています。
- C3級:-2℃~10℃
- C2級:-10℃~-2℃
- C1級:-20℃~-10℃
- F1級:-30℃~-20℃
- F2級:-40℃~-30℃
- F3級:-50℃~-40℃
- F4級:-50℃以下
後述する冷凍倉庫も冷蔵倉庫に含まれますが、一般に冷蔵倉庫と呼ぶ際は、C1級からC3級(チルド)を指し、F級(フローズンもしくはフリーズ)は冷凍倉庫と分けて呼ばれる場合が多いです。
また冷蔵倉庫では内外の温度差によって結露が起こりやすいのが懸念点。結露による設備のダメージや雑菌の繁殖を防ぐためにも湿度が40〜50%に保たれるよう定期的な換気などが推奨されています。
冷蔵倉庫での保管が適している荷物としては乳製品や海産物、精肉、お菓子などが挙げられます。
冷凍倉庫
先述した冷蔵倉庫の中でも-18℃以下に管理されるものを冷凍倉庫と呼びます。
冷凍倉庫で保管されている荷物として、長期保存が必要な食品や温度変化に極端に敏感な素材などが挙げられます。
冷蔵倉庫のメリット・デメリット
メリット
冷蔵倉庫のメリットは「商品の品質を維持できること」「廃棄ロスを抑えられること」の2点です。
多くの食品は温度が上がると劣化しますが、冷蔵倉庫で保管することで消費者に届くまで鮮度を保てます。冷蔵倉庫で保管することで食品を安心・安全に消費者まで届けられるのです。
また、仮に冷蔵倉庫が存在していないとしたら、小売店で全て保管しなければなりません。すると置き場が足りなくなって商品が劣化し、破棄せざるを得なくなります。冷蔵倉庫に商品をプールしておくことで、商品を劣化させずに販売時期まで保管できるため、廃棄ロスの削減にも寄与しているのです。
デメリット
冷蔵倉庫を導入するデメリットは「温度調整にコストが掛かること」「倉庫作業員の負担が大きいこと」の2点です。
冷蔵倉庫では、まず温度・湿度調整を行うための設備投資が必要です。冷却装置はもちろんですが、外部との連絡のための通報機の設置が倉庫業法で定められているなど、必要な設備が多くあります。
そのほか、ランニングコストも必要です。冷蔵倉庫では扉の開閉による温度上昇と再冷却を繰り返すため、24時間にわたり温度管理を行っています。システムの稼働にかかる電気代だけでなく、運用する人件費も必要です。
また、気温と倉庫内の温度に差があることから、作業員の身体にも負担がかかります。
まとめ
冷蔵倉庫は10℃以下の温度帯で管理する倉庫のことを指します。主に食品の保管で使用されており、商品に合わせて温度管理できるよう保管温度帯別で等級が定められています。
冷蔵倉庫は設備投資だけでなく運用にもコストがかかるため、一定期間の保管であれば外部倉庫への委託も検討しましょう。