インターネットで物件を検索すると「倉庫」と「工場」に分けて表示されています。しかし、倉庫として募集されている物件でも工場として利用できる場合があるのをご存じでしょうか?
この記事では、倉庫と工場の法律上での違いと、倉庫は工場として使用できるのか、について説明します。
目次
倉庫と工場は不動産登記法にて厳密に分けられている
不動産登記法とは、家や土地などの不動産の場所や内容の表示、不動産に関する権利を公示するための登記について定めた法律です。
倉庫と工場は不動産登記法の「建物の種類」で分類されており、下記のような違いがあります。
倉庫・・・物の保管や貯蔵を目的とした建物や蔵
工場・・・物品の製造加工を行うための比較的大きい建物
登記簿謄本上では倉庫であったとしても、前のテナントが工場として使用していた場合などは、倉庫と工場の両方で掲載されることもあります。
倉庫の用途を変更する場合に申請は必要か
建物を元々の利用用途と違う目的で使用する場合は、用途変更の手続きが必要になります。
以下の2つの条件に当てはまる場合は、確認申請をしましょう。
①建物の用途を「特殊建築物」へ変更する場合
②変更部分の床面積が200㎡を超えるもの
特殊建築物について
特殊建築物とは建築基準法で以下のように定義されています。
「学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。」
(引用:建築基準法 第二条二項)
また倉庫を工場として使用したい場合、用途地域も重要なポイント。その地域によって建てられる建物の種類や広さに制限があり、場合によっては工場を建設できない地域もあります。
自分自身に十分な知識がない場合は、専門の建築士に調査の依頼をしましょう。
倉庫は工場として使える?
倉庫を工場として使用する際、すべての物件で確認申請の手続きが必要なわけではありません。倉庫内で行う作業内容や、作業スペースの敷地面積によっても異なります。
また、仮に用途変更が不要であったとしても、その建物の構造や消防設備などが安全基準を満たさなければなりません。建築基準法を守るためにも、専門の建築士に調査依頼することをおすすめします。