目次
  1. 通関手続きを一手に引き受ける通関業者
  2. コンテナヤード通関と倉通関
  3. 輸入申告と区分
  4. 他法令-危ないものは水際でストップ!

通関手続きを一手に引き受ける通関業者

「輸入」とは外国から到着した貨物を日本に引き取ることです。そのためには税関長の許可が必要であり、許可を得るためのこの一連の手続きを「輸入通関手続き」といいます。

この手続きはNACCS(Nippon Automated Cargo And Port Consolidated System)というシステムを用いて行われます。NACCSは官公庁や船会社、コンテナターミナル、倉庫を結ぶ共通のシステムであり、コンテナや貨物のステータスを知ることができます。通関業務はかなり専門的なので、ほとんどの場合通関業者に委託して手続きが行われます。

また、貨物の通関にはタイムリーな動きが求められます。ヤードからのコンテナ引取手続きや倉庫までの運送会社の手配等の一連の流れを海上貨物運送業と呼びますが、通関業者が海上貨物運送業を兼ねるケースがほとんどです。後述しますが、「他法令」についても専門的な知識が求められるため、一括して通関業者に業務を委託することで、輸入者は安心して商品の買い付けを行うことができます。

コンテナヤード通関と倉通関

通関には、コンテナヤード(CY)通関と呼ばれるコンテナを利用した通関と、倉通関と呼ばれる保税機能を持つ倉庫で輸入申告をする2種類の手続きがあります。

一般的にコンテナヤード通関には通関が早く切れるというメリットがあり、他法令確認の不必要な常温貨物はコンテナヤード通関を利用するケースが多いです。

一方で、コンテナにはフリータイムが設けてありますので、冷凍冷蔵貨物などを扱うリーファーコンテナで3日間しかフリータイムがない場合には、早々に保税運送で保税倉庫まで運び、検数*をしてから申告・許可を取るのが一般的です。冷凍の加工食品は多くの場合検査対象であること、また、保税状態であれば、相違がある場合や貨物へのダメージが著しい場合に輸入をやめて外国に積み戻すという方法をとることもできるためです。

※検数:輸出入貨物において、輸出入業者に代わってその貨物の数量や状態等を確認し、証明を行う業務のこと。

(写真:iStock)

輸入申告と区分

輸入申告とは、税関長に対して輸入しようする貨物の詳細と納めるべき関税額を申し出ることです。関税額は「実行関税率表」に基づいて決まります。その物品を関税率表上に適切に当てはめる作業を関税分類(HS分類)とよび、分類した箇所の番号を税表番号(税番、HSコードなど)と呼びます。

どのような形態の貨物でもいずれかの税番に属し、対応する関税率が決まっています。インボイスに記載された商品の金額と関税率から関税額を正確に割り出し、申告をします。税番を間違えたり、それによって関税額を誤って納付すると、修正申告手続きが必要となり税関からの信頼をなくすことにもつながります。輸入者からの正確な情報と、通関業者の正確かつ迅速な計算が求められます。輸入者としては許可を急ぐ気持ちになってしまいますが、焦りは禁物な世界です。

初めて輸入を開始する貨物などは、前もって申告する税番を知ることで関税率がわかります。原材料表や製造方法、現物のサンプルを税関に持参し、意見を伺います。これを「事前教示制度」といいます。口頭と文書確認と2通りあり、文書確認の場合には3年間は輸入申告の際に尊重されます。

輸入申告に必要な書類は下記の通りです。

・インボイス

・パッキングリスト

・海上保険

・B/L(船荷証券)

・A/N(貨物到着案内)

・植物検疫証明書・動物検疫証明書(該当貨物)

 ※日本で検疫を受ける貨物は、外国での輸出検疫合格証明が必要となる場合もあります。

・原産地証明書(ある場合)

 ※輸出国と品目により、関税の優遇措置を受けることができます。実行関税率表で確認できます。

輸入申告を行ったのち、区分によって許可までの所要時間が変わります。

区分1:簡易審査(即許可になる)

区分2:書類審査

区分3:現物検査

NACCSで申告を行った時点で自動的に区分が表示されますが、過去に問題のあった輸出者からの輸入貨物であったり、その時に危険地域と指定されている国からの貨物であることなどの要因で、最初に区分2だったものが区分3になったりすることもあります。

検査該当となった場合には、税関への持ち込み検査か、コンテナごとX線に通すという大型X線検査で異物が入っていないか確認します。過去には麻薬が船の裏についていたり、箱の中に隠れていたケースもあったので、密輸を防ぐためにも抜き打ち検査は重要です。検査をクリアすると、無事に輸入許可となります。

他法令-危ないものは水際でストップ!

(写真:iStock)

税関検査をクリアし、関税を正しく納付すれば必ず貨物が引き取れるかというと、そうではありません。各国では経済・保健衛生や公安風俗等を乱すものが輸入されることがないよう、法令を定めて規制しています。これを「他法令」といいます。該当となる貨物を輸入しようとする場合には、他法令の許可・承認を得たことを税関に証明する必要があります。

他法令とは、輸出も含めるといくつかありますが、輸入時にクリアしなければならないものは主に植物検疫法、動物検疫法、食品衛生法の3つです。

<植物検疫>

植物の病害虫が日本で蔓延しないように、植物防疫法に基づいて行われます。野菜や果物、花木はもちろんのこと、麦わら帽子や飼料用の牧草も対象になります。

コンテナヤードでは植物防疫官による植物検疫が行われます。植物検疫に合格して初めてコンテナ引取を行うことができます。

<動物検疫法>

家畜伝染病に基づいて行います。対象は肉、肉の加工品(ビーフジャーキーなど)です。

コンテナヤードで実施することも可能ではありますが、植物系と比べて衛生面、品質劣化を防ぐ観点から、保税倉庫で行うことが一般的です。

<食品衛生法>

食品衛生法では、日本で規制されている添加物等が含まれていないかを取り締まっています。食品でなくても、口に入る可能性のある子ども用のおもちゃ等も対象となります。また冷凍食品には「食品規格」というものがあり、冷凍前の加熱の有無や加熱温度や時間、殺菌方法などを原材料表や製造方法にて検疫所が確認し、必要であれば倉庫でデバンニング作業後に現物を持ち出して検査を実施します。合格となれば輸入申告に進むことができます。

せっかく日本まで運んだのに税関の許可が下りず、輸入できないという事態を避けるために、初めて輸入する食品は、税番と同じように、検疫所でも「事前確認制度」と呼ばれるものがあり、前もって確認してもらうことができます。

また、モニタリング検査というものもあり、大腸菌や微生物、サルモネラ菌等が基準値を超えていないかどうか検査をします。これは輸入時に食品衛生の申請をした時点でランダムに当たります。モニタリングは食品衛生法とは異なるので実施中でも輸入許可になりますし、出庫することもできます。しかし万が一菌数などで違反数値が出てしまった場合には貨物回収などの措置を取らなければならないため、申告を保留にするのが一般的です。

他法令に該当する場合は検査を完了した後、晴れて輸入申告に進むことができます。実際には同時進行で申告を進めるケースが多いですが、本申告をした後に検査で違反数値が出てしまうと、申告撤回を行わなければならないため、予備の申告までで止めておくことが多いです。

このように輸入通関手続きには輸出入者、コンテナヤード、運送会社、倉庫、通関業者と多くの関係者がいます。船が到着したからと言ってすぐに荷物を引き取れるわけではありませんので、余裕を持ってその後の輸送や倉庫の手配を行うようにしましょう。

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